大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和34(オ)578 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を仙台高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人勅使河原安夫の上告理由第四点について。

原判決は、上告人らの訴訟被承継人たるDの本件係争宅地についての占有権原と

して、同人の父(亡)Eとの使用貸借契約の成立を認定しているが、その返還時期

ないし使用目的の約定については、「Dは大正七年中、兄Fと相前後して結婚し、

しばらくは父母のEら夫婦及び兄Fら夫婦と現在の被上告人らの住居において生活

を一つにしていたが、大正一〇年頃原判示のようなEやFとの感情的対立から、本

件宅地で右住居のすぐ裏手に従前Dが家業である畳職の仕事場として建築使用して

いた本件建物に家族と共に移り、爾来同所を住居として今日に至つているもので、

従つて本件宅地の右使用貸借関係は、EとDとの親子の情誼からおのずと成立し来

つたものである」と認定した上で、「その間に期間や使用の目的を定めたことがな

かつたことが窺える」と判示し、よつて、貸主としてはいつでも右使用貸借を解約

して本件宅地の返還を請求し得るものというべく、Eから順次相続によつて貸主た

るの地位を承継した被上告人らの原判示解約の意思表示によつて使用貸借契約は終

了し、Dは本件宅地の明渡義務を負うものであると判断した。

しかしながら、前示の如き原審認定の事情の下では、右使用貸借は、「親子間の

情誼に基づき、親が子の建築したその一家の住居として使用せられる建物の敷地と

して宅地を貸与する契約であつて、特段の反対事情の認められない限り、少くとも

黙示的に使用の目的を当該建物所有のためと定めたものと認定するのが経験法則に

合するものといわねばならない。�

果してしからば、本件は、右認定の事実関係の下において、更に民法五九七条二

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項の適用につき判断すべき事案というべきところ、原審はこの点の審理判断を尽し

ていないのであり、引いて原判決は理由不備の違法あるを免れない。この違法は、

明らかに判決に影響あるものというべく、この点を指摘する論旨は理由がある。

よつて、その余の上告論旨について判断するまでもなく、民訴法四〇七条一項に

従い、原判決を破棄し、本件を原審に差し戻すこととし、裁判官全員の一致を以て、

主文のとおり判決する。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 石 坂 修 一

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 横 田 正 俊

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